DCF(Discount Cash Flow)法とは、「企業の将来キャッシュ・フローを一定の割引率を適用して割り引いた割引現在価値をもって理論株価とする」手法です。
具体的に言うと、企業の毎年の予想キャッシュフローを合計し、それを「現在の価値」に戻して現在の株価とします。
ここでいう、「現在の価値」とは何なのでしょうか。
例えば、今1000円持っています。
これを年利5%の金融商品で運用するとしましょう。
1年たつと、1000円+(1000円*0.05)=1050円になります。
今の1000円が、1年後に1050円の価値になるということです。
では、見方を変えてみましょう。
1年後に1000円の価値を持たせたいと思ったとき、今いくらあればいいでしょうか。
1000円÷1.05=約952.38円
今の1000円と1年後の1000円は価値が違うということです。
これを企業のキャッシュフローで考えてみます。
今年のキャッシュフローが100万円、1年後も100万円とします。
2年分のキャッシュフローは100万円+100万円=200万円ではありません。
金利を10%と仮定すると、現在で見たときの1年後のキャッシュフローの価値は100万円÷1.1%=約91万円
つまり、2年分のキャッシュフローの合計は100万円+91万円=191万円となります。
これが「現在価値」の考え方です。
DCF法では、ここでいう「金利」を「割引率」と言います。
割引率は、複利計算となります。つまり、先のキャッシュフローになるほどに現座価値は小さくなるということです。
「割引率」は「資本コスト」とも言われています。WACC(Weighted Average Cost of Capital)がよく用いられます。
WACCとは、借入にかかるコストと株式調達にかかるコストを加重平均したものです。
WACC=負債/(負債+株主資本) × (負債コスト × (1-法人税等)) + 株主資本/(負債+株主資本) × 株主資本コスト
株主資本コスト=リスクフリーレート + β(ベータ)×リスクプレミアム
一般的には、リスクフリーレートには10年国債の利回りを使います。リスクプレミアムは日本では4.5-5.5%をよく使います。
ベータとは「市場全体の動きに対する個別株式の動き」です。
「資本コスト」は見方を変えると「債権者や投資家が企業に求めるリターン」と言えます。
未上場企業の場合はベータの算出は難しく、簡易的に10%~20%で資本コストを設定する方法もあります。
(続く)