起業をする際に、個人事業として開業するか、法人を設立するかに悩む人は多いかと思います。
個人事業は、個人が事業主となって自己責任で事業を行い、全責任を事業主が負うもので、自営業者とも呼ばれます。(無限責任)
一方、法人は、それ自体が事業主として捉えられます。そこから生じた責任は事業主本人とは切り離して法人が負うこととなります。(有限責任)
法人形態は株式会社、合同会社、合資会社、合名会社、一般社団法人、NPO(特定非営利活動法人)等と様々です。
それぞれの特徴は下記のとおりです。
<個人事業主>
・手続きが簡単。税務署に開業届を出せばよい。開業届は無料
・責任は無限責任
・顧客が法人の場合、取引ができないことがある
・必要と認められる交際費が全額経費となる
・赤字の繰り越しは3年間
・赤字の場合は税金を払うことはない
<法人>
・登記手続きが必要で、費用がかかる
・責任は出資している範囲のみ(有限責任)
・事業内容を変更する場合は定款変更が必要(株主総会決議)
・経費として認められる交際費に限度がある
・赤字の繰り越しは9年間
・最低税額がある(赤字でも税金を払う必要あり)。
個人事業主にすべきか法人にすべきかの選択は、下記を基準とするといいかと思います。
・顧客が法人か個人か
・基本は一人でビジネスをしていくか、社員を増やして拡大していくか
・継続的な資金調達が必要か否か
顧客が法人であったり、事業を拡大していきたいということであれば、最初から法人とすることをお勧めします。個人事業というだけで取引できないということがありますし、資金調達の幅も法人のほうが広いです。従業員を社会保険に入れてあげることも個人事業の場合できません。
一方、一人で事業を続ける、副業として事業をする、費用を最低限に抑えたい、顧客は個人である、等の場合は、個人事業でも十分です。
一般的には、個人事業主から始めて、途中で法人へ転換する「法人成り」という手法もありますが、法人に転換するタイミングは意外と難しいです。法人成りのタイミングとして、副業の場合は本業の給与を副業収入が超えたときとか、売り上げが拡大してきて、税金的に法人にしたほうがメリットが出てくるときとか言われていますが、実際のところは法人顧客から要請されたり、人を採用する必要が出てきたり等、収入とは異なるタイミングになることが多いです。
法人成りを考えるのであれば、明確に基準を作っておくといいですよ。