[111]自分でできる企業評価の方法(1)~時価純資産評価~

自分の会社の価値を知るために、いくつかの「企業評価手法」をご紹介します。
これらの手法は、M&AやIPOでも使われる手法です。

1.時価純資産評価

貸借対象法をベースに、自社の純資産を評価する手法です。具体的には、決算書の項目を「時価評価」します。

【時価評価項目】

  • 有価証券、投資有価証券
    • 上場株式の場合は、平均値を採用する。
  • ゴルフ会員権
    • 販売価格(現在または平均値)を採用する
  • 土地
    • 公示価格、相続税評価額、固定資産税評価額等を採用する ※一般的には相続税評価額、固定資産税評価額は公示価格より割安になる

【その他調整項目】

  • 売掛金: 回収不能債権がある場合はゼロ。回収困難債権がある場合は減額。
  • 棚卸資産: 1年以上売れていない在庫はゼロもしくは減額(中古品、類似品等の取引価格を参考に)

純資産評価は、あくまでも会社の「資産性」を見る評価法であり、会社の「収益性」は考慮に入れていません。したがって、資産をあまり持たない企業には割安な評価になることが多いです。

企業の収益性を加味するには、「営業権」を資産に加えます。
営業権の出し方も様々で、単純に「税引き後営業利益の3-5年分」とする場合もあります。
税務面から見る営業件の算出方法は下記の通りです。
営業権=超過利益金額×営業権の持続年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率(原則10年)
超過利益金額=平均利益金額(過去3年間の所得金額の平均)×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額 × 0.05

標準企業者報酬額

  • 平均利益金額が1億円以下の場合  平均利益金額×0.3+1,000万円
  • 平均利益金額が1億円超3億円以下の場合  平均利益金額×0.2+2,000万円
  • 平均利益金額が3億円超5億円以下の場合  平均利益金額×0.1+5,000万円
  • 平均利益金額が5億円超の場合  平均利益金額×0.05+7,500万円

営業権の持続年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率(原則10年)

基準年利率は7年以上で「0.25」です。(平成29年分の基準年利率について(法令解釈通達
平成29年の複利表において「年0.25%の複利年金現価率」において、10年の複利年金現価率は「9.864」です。
時価純資産方式は最も客観性のある評価法ですので、企業評価においては外せない指標の一つとなります。

自分でできる評価法ですので、自社の価値をぜひ知っておいてくださいね。

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