[168]経営不振の時のリスクマネジメント(その1)
ずっと成長し続ける企業などほとんどありません。特にスタートアップの企業はいい時と悪い時の時期も幅も激しくなりがちです。
潤沢な内部留保がある場合は別として、経営不振になったときのキャッシュはあっという間になくなっていきます。
私達は、常に経営不振になった時を想定してリスクマネジメントをしていく必要があります。
リスクマネジメントには様々な分野がありますが、スタートアップの企業の場合のほとんどは「資金繰り」です。
資金がなくなることにより、他の様々な諸問題が引き起こされていきます。
以下は、資金繰りを少しでも改善するために日頃から心がけておくといいポイントです。
1.固定費を最小限にしておく
固定費の代表的なものは人件費と家賃です。それ以外では、光熱費、通信費、交通費、支払手数料、交際費等があります。
この中でも、家賃は経営不振の時には負担が大きくなります。そして、移転等で家賃が高くなるときは得てして業績がいい時なので、その際にリスクマネジメントをしておく必要があります。
具体的には、
- 将来を見据えた、現状では広めの場所を借りない
- 解約の事前告知期間の短い物件を選ぶ。短くなるよう交渉する
- 居抜き物件を選ぶ。原状回復が甘い物件を選ぶ
家賃以外では、細かい削減の積み重ねでもまとめると大きな費用削減効果が見込めたりします。電気をこまめに消す、タクシー不可、費用対効果のいいプロバイダーや外注先を選ぶ、交際費不可等。とある会社では、ボールペン一本の経費購入でも社長決裁だったと言います。社内電話禁止にしていた会社もあります。
2.モノは定価では買わない
実はビジネスの世界では「定価」で購入する必要のないものがたくさんあります。ボールペン一本にしても、探せばコンビニエンスストアでの値段より安く購入ができます。机、電気製品等は交渉すれば割引価格で購入することができます。「1円でも安く買う」姿勢は大切です。
3.入出金のサイクルを調整する
「入金はすぐに、出金は先延ばし。」これが経営の基本です。月末に入金があるサイクルであれば、出金のサイクルも月末に限りなく近くする(給与支払いも含む)ことで資金繰りはかなり楽になります。「現金払い」が好まれるのも、クレジットカード等だと入金のタイミングが後ろになるためです。
4.「バーター取引」を利用して費用対効果を高める
バーター取引とは、「貴社に当社の●●を提供するからこの価格を下げてくれ(タダにしてくれ)」という取引です。先方からすると、当社のサービスの利用代を削減することができるので資金の流出がなくなります。
(つづく)