最初は1人で起業をしたとしても、だんだん自分ひとりでは処理しきれない仕事が増えてきて、「人を雇いたい」と思うことがでてくると思います。
人を雇う場合には、「労働契約」が必要になります。労働契約には、以下の2つの制度があります。
- 基準法:労働基準法に基づき、違反があった場合には労働基準監督署において是正の監督指導等を行うもの
- 契約法:労使間のトラブルを防止するため、労働契約法において民事上のルールとして定められているもの
労働契約をしっかりと理解していないと、後でトラブルになることがあります。今回は労働契約の概要についてご紹介します。
(出所:厚生労働省HP)
労働契約の基本原則
労働契約の締結や変更は、以下の原則に基づいて行うことが必要です。
- 労使の対等の立場によること
- 就業の実態に応じて、均衡を考慮すること
- 仕事と生活の調和に配慮すること
- 信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用してはならないこと
労働契約の締結
- 労働条件の明示等
- 使用者が労働者を採用するときは、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。
- 労働者と使用者が労働契約を結ぶ場合に、使用者が、(1)合理的な内容の就業規則を(2)労働者に周知させていた場合には、就業規則で定める労働条件が労働者の労働条件になります。
- 契約期間
- 契約期間に定めのある労働契約(有期労働契約)の期間は、原則として上限は3年です。なお、専門的な知識等を有する労働者、満60歳以上の労働者との労働契約については、上限が5年とされています。
- 使用者は、有期労働契約によって労働者を雇い入れる場合は、その目的に照らして、契約期間を必要以上に細切れにしないよう配慮しなければなりません。
労働契約の変更
- 労働者と使用者が合意をすれば、労働契約を変更できます。
- 合意による変更の場合でも、就業規則に定める労働条件よりも下回ることはできません。
- 使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。なお、就業規則によって労働条件を変更する場合には、(1)内容が合理的であることと、(2)労働者に周知させることが必要です。 」
労働契約の変更
- 解雇の有用性
- 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、権利を濫用したものとして無効となります。
- 契約期間に定めのある労働者については、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間において労働者を解雇することができません。裁判例によれば、契約の形式が有期労働契約であっても、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約である場合や、反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇に関する法理の類推適用等がされる場合があります。
- 解雇予告手当
- やむを得ず解雇を行う場合でも、30日前に予告を行うことや、予告を行わない場合には解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払うことが必要です。