収益の状況は損益計算書(PL)だけでは不十分です。
損益計算書の欠点は、「実際の現金収支までつかめない」というところにあります。
例えば、下記の項目は、現金移動がなくても損益計算書に反映されてしまいます。
- 売掛金(クレジットカード払い含む)、買掛金
- 減価償却
逆に、下記の項目は、現金移動はあるにも関わらず、損益計算書に反映はされません。
- 棚卸資産(在庫)
- 敷金、保証金
- ソフトウェア ※一部が「減価償却費」として反映
- 建物、機材等 ※一部は「減価償却費」として反映
- 借入金、増資 ※借入金の金利支払いは反映
つまり、損益計算書だけでは、実際の資金収支がわからないため、「損益計算書上では利益が出ているはずなのに、手元にお金がない」という状況に陥りやすいのです。
そこで、「資金繰り表」を作成することをお勧めします。
資金繰り表とは、簡単に言うと「毎月の企業の家計簿」です。
純粋に「お金の入りと出」をまとめて、手元にお金がいくらあるかを把握しておく表です。
資金繰り表のフォーマットはネット上で無料ダウンロードができますので、ここでも概要をご説明します。
資金繰り表は「営業収支」と「財務収支」に大別されます。
<営業収支>
収入
- 売上代金(現金売上、売掛金回収、手形期日落とし、手形割引)
- 前受け金
- その他の収入
支出
- 現金仕入れ
- 買掛金支払い
- 手形決済
- 人件費
- 販売費
- 管理費
- その他の支出
- 税金支払い
上記の収入―支出が「営業収支額」です。
いわゆる、営業上どれだけキャッシュを得ることができたのか、失ったのか、を見ることができます。
ここで大きく営業収支が赤字になり、現在の預貯金残高を消費してしまうこととなると、いずれ資金繰りが厳しくなることが想像できます。
そこで、財務収支が必要となってきます。
<財務収支>
収入
- 借入金
- その他の収入(固定資産の売却収入等)
支出
- 借入金の返済
- その他の支出(固定資産の購入等)
上記の差額は「財務収支」となります。
経常収支=営業収支ー財務収支 です。
この経常収支が、今月手元に残ったキャッシュで、翌月に繰り越すことができます。
資金繰り表で経営者が考えなくてはならない点は以下の通りです。
- 今後の収支計画で資金繰りが厳しくならないかをチェックし、資金調達時期と方法を考える
- 今後の設備投資時期と金額を検討し、資金調達の可否を検討する
- 資金繰りが楽になる方法を考える(買掛金の支払時期、売掛金の回収サイクル等)
資金繰り表で残高がマイナスになるということは、手元にお金がないどころではない非常事態なので、先にそのリスクがあることが予想できる際には早めに対策するようにしてくださいね。