事業承継は単に株式を譲渡すればいいというものではありません。以下の3つの構成要素があります。
- 人(経営)の承継
- 資産の承継
- 知的資産の承継
1.人(経営)の承継
人(経営)の承継とは、後継者への経営権の承継を指します。具体的には、会社形態であれば代表取締役の交代、個人事業主であれば現経営者の廃業・後継者の開業となります。
一般的には、親族内承継や従業員承継において、後継者候補を選定し、経営に必要な能力を身につけさせ、また後述する知的資産を含めて受け継いでいくには 5 年から10 年以上の準備期間が必要とされています。
2.資産の承継
資産の承継とは、事業を行うために必要な資産(設備や不動産などの事業用資産、債権、債務であり、株式会社であれば会社所有の事業用資産を包含する自社株式である。)の承継を指します。会社形態であれば、会社保有の資産の価値は株式に包含されるので、株式の承継が基本となります。他方、個人事業主の場合は、機械設備や不動産等の事業用資産を現経営者個人が所有していることが多いため、個々の資産を承継する必要があります。
資産の承継については、贈与税・相続税に絡む評価額の算定や利害関係者との調整等が必要になるため、早期に税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
3.知的資産の承継
知的資産とは、「従来の貸借対照表上に記載されている資産以外の無形の資産であり、企業における競争力の源泉である、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランドなど)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなど、財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源の総称」です。具体的には下記に分類がされます。
- 知的財産権:特許権、実用新案権、著作権等
- 知的財産:ブランド、営業秘密、ノウハウ等
- 知的資産:人的資産、組織力、経営理念、顧客とのネットワーク、技能等
- 無形資産:借地権、電話加入権等
知的資産は会社の「強み」・「価値の源泉」であり、知的資産を次の世代に承継することができなければ、その企業は競争力を失い、将来的には事業の継続すら危ぶまれる事態に陥ることも考えられます。したがって、事業承継に際しては、自社の強み・価値の源泉がどこにあるのかを現経営者が理解し、これを後継者に承継するための取組が極めて重要となります。