M&Aでは、買収完了後の統合戦略が重要です。具体的には、以下の取り組みをしていきます。
- 戦略
・買収後の戦略の策定-リストラチャリング効果-シナジー効果の享受に向けた具体的なアクションプランの作成・試金石となる目標の設定 - 組織構造
・被買収企業の経営陣、取締役の構成についての決定・組織の統廃合プランの策定 - 人事
・経営陣の布陣の決定・必要なスペック人材の外部調達 (内部に適任者がいない場合)・リストラクチャリングプランの策定 - 業績管理
・具体的な目標の策定・定期の業績管理及び必要に応じての戦略の見直し - コミュニケーション
・買収についての方針を社内・外に対していかにコミュニケートするかを策定 - オペレーション
・効率化を目的として事業オペレーション及びシステムの統合アクションプランの策定
【ポストM&Aがうまくいかず不成功に終わった実例】
- 買収完了後、被買収側のキーパーソン及び社員が続々と退職し、重要な資産(人)が失われた
- 予想外の債務(簿外債務)が見つかり、その後始末で予定外の費用がかかった
- 被買収側の取引先との引継ぎがうまくいかず、売上が激減した
- カルチャーの融合ができずに、派閥争いがおこり社員のモチベーションが低下した
- 対等合併または統合にしてしまい、意思決定が鈍くなった、「血を流す」戦略を打ち出しにくくなった
【ポストM&Aの実例】
- 買収完了後翌日から、オペレーション、人事評価等の社内規程を買収側に合わせた
- 給与水準を低いほうに合わせた(統合によるリストラクチャリング効果)
ポストM&Aを成功させるためのポイント
- 社長のリーダーシップ
基本的に、M&Aは社員レベルでは不安感や焦燥感、あきらめ感等ネガティブな雰囲気になりがちです。統合についても、人は現状を変える手間を避けてしまいがちで、統合がなかなか進まず、思うような効果が出ないこともあります。必要なのは社長が統合プランを自ら策定し、実行に導くリーダーシップです。 - 事業シナジーの実行努力と迅速なアクションプラン
M&Aの時に試算をした事業シナジーの数値は、ポストM&Aになると現実的な目標設定をしだして統合スケールが小さくなることがあります。当初の統合効果をどのようにしたら実践できるかを考える姿勢をプロジェクトメンバーが持つ必要があります。また、時間が経つにつれて統合効果は小さくなりがちなので、できるだけ早くポストM&Aを実行すべきです。 - オペレーションはシンプルに「譲れないもの」から考える
オペレーションの統合はフローがあるだけに一筋縄ではいかない作業です。基本的には、①より効率的な方に合わせる、②お互いの「譲れないところ」から考える、③これを機にさらなる効率化できるオペレーションに変更する、等を検討するとよいでしょう。 - 人事政策はメリハリが重要
ポストM&Aで一番怖いのは「人材流出」です。このような時は優秀な人、キーパーソンほど抜けていくものです。したがって、あらかじめ「絶対に残したい人材」をリストアップしておいて、給与、役職(ポスト)等の優遇を念頭に置いた引き留めを行うことをおすすめします。