M&Aのプロセスではターゲット選定が非常に重要です。事業シナジーをできる限り明確に期待できるターゲットを選定する必要があります。
2.ターゲット選定
(1)買収候補先のリストアップと概要把握
・選定した投資分野での買収候補先を幅広くリストアップ
・選定基準の選定
・候補先企業の絞込み
・買収目的の明確化
・買収候補の概要把握
-スキルと能力
-DCF法による投資価値評価
(2)期待されるシナジー効果の検討
・自社スキルを勘案し、獲得可能と思われるシナジー効果を特定し、価値を評価
(3)リストラクチャリング機会の検討
・企業価値の増大をもたらすリストラ機会の分析
・実行可能と思われるリストラ機会の価値評価
(4)最終候補の企業価値評価
・企業価値を評価
-DCF分析
-同業他社との倍率分析
-類似買収案件との倍率比較
【ターゲットスクリーニングの方法】
ターゲットスクリーニングをする際には、戦略的一貫性を確保するために明確な選定基準を策定する必要があります。具体的には、下記の観点からスクリーニング基準を策定します。
(1)事業ポートフォリオ戦略におけるスクリーニング
戦略、計画、必要とされる経営資源は全社戦略目標と合致するか?
(2)競争戦略によるスクリーニング
戦略、計画、必要とされる経営資源は現実的で持続可能でかつ競争上実行可能か?
(3)価値によるスクリーニング
戦略、計画、必要とされる経営資源によって価値は創造されるか?
【データベースを用いたターゲットの絞り込み例】
ステップ1:業績、会社規模、企業系列、市場における評判
ステップ2:商品別売上、地域別事業活動、顧客分析
ステップ3:コアコンピタンス、市場動向、競争的ポジショニング、商品ライフサイクル
(注)コアコンピタンスとは、ある企業の活動分野において「競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力」「競合他社に真似できない核となる能力」の事を指します。
スクリーニングは、日経テレコンや帝国データバンク、商工リサーチ等の企業データベースを使って絞り込みをすると効率的です(有料)。
M&Aアドバイザリー会社の多くはそうしたデータベースを保有していますので、ターゲットスクリーニングを委託するという方法もあります。
スクリーニング基準は明確でないと、ターゲットがブレていき、M&A自体が進まなくなります。
事業戦略を具現化できる基準を作りましょう。